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鹿本中学校・学校保健委員会での「ノロウイルス」に関する講演内容の要約

ノロウイルスについて

ノロウイルスは以前「小型球形ウイルス」「SRSV」と呼ばれていましたが、2002年より「ノロウイルス」と命名されました。感染性胃腸炎の原因には、ウイルスや細菌、寄生虫によるものもありますが、冬に発生するのはウイルスがほとんどです。原因ウイルスとしては、ノロ・ロタ・アデノ等が知られています。また細菌性のものにはサルモネラ・カンピロバクター・エルシニア・病原性大腸菌・腸炎ビブリオ等が知られています。
ノロウイルスは一年を通じて発生が見られますが、11月から増加しはじめ12月〜翌年1月がピークになる傾向があります。平成18年の食中毒発生状況によると患者数では71%がノロウイルスによるものとなっています。

感染経路
ほとんどが経口感染で次のような感染様式が考えられています。

  1. 吐物や便から人の手を介して感染
  2. 人から人への飛沫感染
  3. 感染者の調理により、汚染された食品から感染
  4. 汚染された二枚貝を十分過熱しないで食べて感染

潜伏期間
24〜48時間

臨床状況
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛ですが、38度程度の発熱を伴うこともあります。脱水症状を示すことがあるため注意が必要です。

経過
上記症状が1〜2日続いた後に治癒し、後遺症もありません。

治療方法
抗ウイルス剤はありません。通常対症療法が行われます。脱水症状を示す場合には、点滴が有効です。下痢止めの薬は病気の回復を遅らせることがあるので原則使用しません。
ただし、整腸剤は使用します。

検査
糞便には通常大量のウイルスが排泄されるので、比較的容易にウイルスを検出することができます。検査結果が出るには2〜3日間を要します。

予防
多くの場合は経口的に感染するため、手洗い・うがいが重要です。特に排便後や調理前は石けんと流水での手洗いが大切です。タオルの共用を避けることも必要です。
また便や吐物の処置をする時には素手で触らず、ビニール手袋を使用してください。
汚物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤:キッチンハイターなど)を希釈したものを使用してください。
ウイルスは熱を加えると死滅するので、食品は中心部までよく加熱してください。食品の中心温度85度以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。

参考文献:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」

佐々木内科小児科クリニック
院長 佐々木高信

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